中国コンサルティングレポート〜上海起業トラブル解決編
東京に隣接したある県に住む建材業を営むAさんである。弊局の無料相談コーナーにメールが入った。
内容を詳しく聞いて見ると、二年前に日本で知り合った中国人のRさんを代表者にして、Aさんが全ての資本金を出して、Rさんに起業申請を任せた。董事長(会社代表者)をRさんにして、国内資本設計企業(内資企業)を上海で立ち上げた。しかし、どうもAさんとRさんは最近経営上のトラブルを抱えているようである。
このトラブルをAさんは何とか解決したいと強く要望しており、まずは、対面相談コンサルティングの依頼を受けた。
個別面談コンサルティング
AさんとRさん間のトラブルの詳細とは、Rさんに上海の設計会社経営の全てを任せていたが、実質Rさんは設計業務の経験がない、よって社員技術指導も設計業務も分からない。
それ以上の問題は董事長としての経営管理も不得意で、勝手に他の仕事に精を出し私服を肥やしてきたようである。
そこでAさんは、Rさんから、会社を買い戻そうと考えた。そして日本人上海駐社員のSさんに、董事長を変える事も考え、AさんとRさんは話し合い、6ヶ月前には一旦合意をしたそうである。
早速Aさんの指示で、SさんとRさんは工商行政管理局に会社役員変更届けを出しに行ったそうだが、RさんはSさんに法律により役員変更は出来ないと告げたのです。
Sさんは中国の法律など分からないので、なぜ役員変更ができないのか理解できず、そのことをすぐにAさんに報告しなかった、そのため、Aさんは既にRさんからSさんに董事長が登記変更されたと思っていたので、Rさんに支払いを完了していた。Aさんは困惑して上海に乗り込んだが、Rさんの説明になぜSさんが董事長を引き継げないのか理解できず、それで弊局を頼り相談してきたのである。
董事長の登記変更ができないことは中国の法律を知っていればすぐ理解できることで、中国国内資本企業(内資企業)は法律で外国人が董事長(代表役員)どころか、董事(役員)にもなれないのである。もちろん、外国人を従業員として雇用は出来る。
正確に言えば、経営責任執行役員というものには外国人はなれるが、それは会社経営の業務・経理などの全ての責任を任される役職で、会社が何らかの失敗したときに行政からの責任追及があるような役職で、こんなものになっても経営上の権限など何もない不利益な役職である。
Aさんに内資会社の法律規定を説明したあとでこの様な提案をした。
このまま内資企業を続けても問題は解決しないので、Rさんに返金を要求して、現会社はRさんが元のまま経営する。
AさんはRさんの現会社と関係を断ち切り、Aさんは外国独立資本で設計企業(外資独資企業)を新たに設立するというものだ。
そして、より詳細な、Aさんの会社の現状と日本の会社と中国の会社の関わりや商流を確認した。
それぞれの会社の位置づけと商流は、
1.日本のお客様である建築会社から設計図を元に日本の会社は建材の注文を受ける。
2.日本の会社は設計図や必要資料をインターネットで上海に送る。
3.上海の会社はその設計図を元に建材の大きさや色合い、材質、そして数量などを積算する。
4.上海の会社で積算した内容を福建省アモイの建材会社に加工委託し、完成品をアモイの提携している貿易会社を通し日本に輸出する。
5.日本の会社がその商品を受け入れ、依頼された建築会社に納品しているそうである。
Aさんによると、実はアモイにAさんの日本企業が出資し、外資独立資本企業(外資企業)の貿易会社を設立したいと考えているとのこと。
Aさんと弊局は、AさんとRさんとのトラブル解決のコンサルティングとアモイでの貿易会社設立することで合意した。
ここまでかかった時間と費用
2時間−3万円
現地調査+代理交渉コンサルティング
早速、上海の弊局の劉冠運中国代表が調査にあたった。上海のSさんとRさんからの事情聴取、交渉行政管理局へ出向き、現内資企業の法人登記がいかがになっているか事実確認、そしてRさんに接触して今のRさんの考えを確認した。
それらの事実関係を、Rさんに報告。今後の交渉の方向性を最終的に取り決めした後、中国代表の劉を代理としてRさんと数回の会談交渉を繰り返し下記の取り決めをまとめた。
・会社はRさんが今まで通り代表を務める。
・Aさんはその会社に介入しない。
・以前AさんがRさんに渡したお金はAさんに返金する。
・設計の仕事もRさんが出来るならAさんは今までどおり発注する。
この内容でAさん、Rさんがともに納得し合意書を交わし返金も実行された。
その後Aさんは日本人駐在社員Sさんに指示し、上海事務所になるべき賃貸不動産を探しに早速当たらせた。しかし、Sさんは弊局に相談せず居住区マンションの一室を借りてしまったので、後で上海支社を登記するとき代行する我々が苦労した。
※中国は商業区と居住区の区分が決められており、会社登記は居住区では出来ない。
さらに、Sさんが社員の説得に動いたようだが、社員はRさんの経営に不振を持っており、全員Aさんについて来た。
Rさんには会社は残っても社員も技術員はいないし、日本からの受注ルートも基本的には閉ざされ、会社は要らないから金を返せと怒りを表したが、Aさんは今更Rさんから内資会社を引き受けても董事長にはなれない。 そこでAさんはRさんから会社内のパソコンや事務机などの什器を買い上げ一定の整理をして、今回のトラブルが一件落着。
引き続き、弊局はAさんに福建省のアモイに貿易会社を設立し、その会社の支社として上海事務所は登記する提案をした。この提案はアモイ本社だけに資本金をいれるだけで済むので、この方法でAさんは納得し、起業申請に着手することになった。
ここまでかかった時間と費用
約1週間-12万円
担当コンサルタントより
今回のケースに限らず、人脈をたよりに、知識が不十分なままで相手に任せてしまい、後から大きな時間とお金の損失を被るケースは後を絶たない。専門家への事前の相談や、現地での事実確認調査を少し行うだけで、回避できることばかりです。
「もう少し早く相談に来ていただければ・・・」というケースが多いので、是非、早い段階で、日本と中国両方で機動的に動ける弊局を、多いに活用してもらいたいです。
緒川太一
参考情報
弊局または提携の法律事務所でのトラブル解決例
・日本著名オートバイブランド侵害事件
・日本某著名会社ウェブサイト権利侵害案件
・日本著名電子商品を密輸および販売行為に対する調査、取り締まり事例
・あるフランス著名食器メーカーの版権侵害案件
・日本著名企業の商標権を侵害するドメインネーム案件